経典外、もしくは偽経典
そういうことなのです。にょろにょろしたミミズは、ハッキリ言って気持ち悪い生き物ですね。
けれども、この「気持ち悪い」という感覚は、もともとはと言えば、身体の内部だからなのです。身体の内側は、腸でも他の内臓でも、身体中に張り巡らされた血管でも筋でも、なんだか、にょろにょろしているでしょ。身体の外が世界であるときの私たちにとっての「わたし」は、身体の表面だけです。身体の表面と、それからむしろ外側に「わたしのもの」として拡がっているのが「わたし」です。身体の内部は、「隠すべきもの」、「汚いもの」、「お淫らなもの」、「死」といった穢れに結びつくのです。
大地の外側で暮らす私たちにとって、大地は地表のことであり、例えば大地の恵みと言うときも、それは地表の作物と、ちょっと掘ったところの作物だけです。だから、地中のような洞窟に蠢くゴブリンを醜悪と感じるし、また、大地に生きるミミズさまに「にょろにょろしている」と文句を言うのです。そして、ゴブリンの蠕動運動への嫌悪は、ゴブリンの更に内側に寄生する「ミミズのような形体生き物」の蠕動だと受け取ったのです。すべては、内側への怖れから来ているのです。
大地の女神さまは、大地です。ミミズさまは、千のミミズとなって大地の深部に戻って行ったのです。