ゲームとしての相互確証破壊: home

純粋な合理的判断

仮定

もともとの疑問は, 敵の核戦力にターゲットを絞った限定的核攻撃は,最終的な相互全面攻撃に至ることなしに可能なのか ということであり,また,これを純粋に論理的問題(むしろ,数学的問題)として扱うことが可能なのか,ということである。 もちろん,論理的問題として扱うためには,設定を単純化しておく必要があるので,

  1. 倫理的問題を離れて完全に論理的問題として考えるために,また,
  2. 戦争というものに対しての核大国間の相互理解に基づくプロトコル(そのようなものがあるのだろうか?)に関わらないために,
  3. さらに,「現在の国際情勢」(ましてや,その裏事情)に関わらないために,

それら捉えどころのない問題すべてを排除した純粋なゲームを設定した。

合理的でない行動の危険性や感情的な要因の危険性については,関わらない。

逆に, 純粋に合理的な行動を想定すること自体の,つまり,合理的という概念自体の危うさ がテーマになる。

したがって, 「都市」とか「攻撃」という言葉を用いてはいるが,行動を選択する基準は,与えられた関数の最終的値を極大化することであり,プレーヤーは共に,相手も合理的に行動することを信頼して,合理的に行動を選択する。 しかし,この想定は,すでに自己言及パラドックスの領域に踏み込んでいる。したがって,なんらかの有限性を導入して, 相互に合理的に行動する, ということの意味が確定したゲームを定義する必要がある。

ゲーム理論と呼ばれる分野は広範囲で,資金獲得のための「言ったもの勝ち」や単純な応用数学の問題を除外しても,中には,ほとんど心理学の実験のようなものまで,含まれているようだ。一方,まともに「相手の思考を経由しての自己言及」に対処しようとすると,新しい数理論理の開発まで必要になるはず。この難しすぎる問題を避けるために人為的な有限性を設定した。これにより,単なる有限木での探索という数学の問題への格下げを実現している。

これから導入する人為的有限性は,以下の二箇所:

  1. 都市の個数が有限個。これは,部分的攻撃の選択枝が有限個しかないということに対応する。相手の総価値を任意の実数値で減少させる部分攻撃は考えない。
  2. パスの回数に制限があり,制限値になると強制終了。

これらは,あからさまに人為的な設定だが,この仮定を取り除くと,これからの分析は破綻する。

目次

  1. home
  2. ゲームの説明 :  直感的に結果が想定できる,いくつかの例を提示する
  3. ゲームの規則 :  ゲームの正確な規則を設定
  4. 木としての記述 :  経路の一意性を確保するためにゲーム木を設定
  5. 用語と補題 :  ゲームの解析のための準備
  6. 先手有利な初期配列 :  先手有利な example を作る
  7. \(p\) の値 :  連続パスの制限回数により結果が異なる example を作る
  8. 現実の世界 :  ゲームと現実とのギャップについて